「新年の季語」というのは「正月」「初詣」「成人の日」「鏡割」「福寿草」など、『歳時記』に「新年」として項目が立っている季語の一群です。
「暮・新年」という区切りでまとめている歳時記もあるのかもしれませんが、今回は年末の季語(「大晦日」「煤払ひ」「除夜の鐘」など)は含まないことにします。
基本的に句会当日の季節にあたる季語がその句会に最もフィットする季語だろうという考えです。
今回は1月13日開催ですので、選句時期も含め新年の季感の中で読まれることを意識して作句するのがいいんではないかと考えております。
とはいえ、作句時期からして年末の季語でいい句が出来てしまうことがあります。ではそれを「冬の季語」として「ちょ」しばりの一句として出していいかどうかですが、これも句会の開催時期を考えれば、もう過ぎ去った季感を持ち込まないようにする方が「場」に配慮した出し方かと思います。
そう考えていくと冬の季語の中でも初冬感のあるものは使わないほうが良いということになりますね。
ただ、多少季感がずれてしまっていても句の魅力がダントツなので特選! ということもあり得ます。その辺が面白い所でもあるので、あまり固いことは言わずに最終的には作者の判断で勝負してもらえれば良いと思っております。
(あまり思い切って逸脱すると逆選のリスクもありますので、その辺も考えどころですね)
※『歳時記』はなくとも、ネットで「季語 新年」で検索すると結構紹介されております。
(一例↓)
〈追記:お題の跨りについて〉
今回のように「季題」と、「しばり」が出た場合、そのどちらとも取れる句が出来てしまう場合があります。
また意図的にも作ろうと思えば作れます。
極端な話、三句とも新年の季語でありかつ「ちょ」句として作ることも可能です。
(※「ちょ」しばりの方には、「新年以外の冬の季語で。」と追加しましたので、今回それはなしですが)
結論としては「新年句」に「ちょ」が入っていても、ありと考えております。(「猪日」や「ちょろぎ」などという素敵な季語もありますので。)。
ただ、季語にせよしばりにせよ、お題はそれぞれ一句の中で一つずつシンプルに魅力を発揮させた方がきれいなように思います。
「季重なり」と言って、季語が二つ以上入っている句は一般的によろしくないと言われています。それと同じかなと思います。
とはいえ、いつも言っておりますが、ルール的に多少逸脱していてもあえて(逆選のリスクを負ってでも)句としての良さで勝負するかどうかは、最終的には作者自身の判断に委ねたいと思います。
〈追記:歴史的仮名遣について〉
歴史的仮名遣い辞典
というものを見ておりましたら、「ちょ」に関わるものとして次のようなものがあげられており、ちょっと衝撃を受けているところです。
~鳥: ~てう
丁子: ちゃうじ
手水: てうづ
頂戴: ちゃうだい
蝶々: てふてふ、てふちょ
提灯: ちゃうちん
丁度: ちゃうど
手斧: てうな
丁子: ちゃうじ
手水: てうづ
頂戴: ちゃうだい
蝶々: てふてふ、てふちょ
提灯: ちゃうちん
丁度: ちゃうど
手斧: てうな
これでいくと、今回「ちょ」しばりの例語としてあげた「身長」などは「しんちゃう」となるのかなと思いますが、こういう辞典はすべての語が書いてあるわけではなく、正直はっきりしません。(「町長」は「ちゃうちゃう」になるのかな)。
しかしながら、今回お題にしているのは、〈「ちょ」の音を含む言葉〉でありまして、〈「ちよ」と書く言葉〉ではありませんので、「身長」も「町長」もありと考えます。新仮名遣いは間違いということでもありませんし、実際多くの俳句が新仮名遣いでで作られているし。
だだし、旧仮名遣的にもこだわって正しく作句したいという向きもあろうと思いますので、そういう方はあらかじめ辞書などで調べ、確実なもので作っていただいた方が気持ちいいのかなと思います。
(徳山)